8月14日@Vermont
16:00 | 入場 |
少し歩くと、食べ物屋があった。私たちはとにかくお腹が空いていたし、ステージエリア入りして場所をとったら、もう何も食べることができなくなることがわかっていたので、たつにぃとしおちゃんに「ここで何か食べておこう」と声をかけた。
あれはなんだろ。グリルチキンだったかな?焼いたピザシートみたいなものに、野菜や肉がごっそり巻いてあるやつ。$7もして、高いなと思ったけど、値段どおりめちゃでかいものだった。隣はスターバックスだったので、アイスコーヒーを購入。
胃に食べ物を流し込むとだいぶ落ち着いた。やっと周りを楽しんで見る余裕もできた。
少し歩くとベン&ジェリーのアイスクリームが売っていた。さすが地元。しおちゃんが「アイス食べたい」といってチェリーガルシアのバーを買っていた。「この箱は記念に持って帰ります」と言っていた。しおちゃんは実はデッド好きなのだ。この旅のために、PHISHのオフィシャルを少しずつ購入して聞いたという。しおちゃんは天然におもしろい。
甘いもの好きのたつにぃもアイスを買った。ちょうど日本人の親子づれもアイスを買っていたので少し話をした。ベビーカーで2.3歳と思われる子供を連れていたので、道中大変だっただろうなぁと思った。
途中で急に足場がよくなった。どうやら滑走路に着いたようだ。この舗装された滑走路を使ってパーキングロットのお店が沢山出店していた。しおちゃんは、初めてのパーキングロットに圧倒されながらも、あちこちを見ていた。本当はゆっくりと見たいところだけど、もう17時だし、明日見ればいいしということでステージを目差した。
地図を見ればわかるのだろうけど、テントに地図を置いてきてしまった。しかし、ステージを目指す人の流れができていたのでその後ろについていく。良く見るとこのエリアはかなり広く場所をとってあるのに、みんな隅の方を2列になって歩いている。近付いて納得。足場はすでに田んぼのような状況で、とてもまともに歩ける場所ではなかった。
そこに入らなくていいように、パレットが道状に並べられていて、みんなその上を通過していたのだった。それでも、昨日から会場入りした人たちか、靴を脱いであえてその泥の中を突っ切る人も何人かいた。
ここまできたらなんだか一安心した。 左手にオフィシャルのマーチャンダイズショップがあったので立ち寄る。いくつか品定めしていると、遠くから音楽が聞こえてきた。あまりにも遠い音なのでBGMか何かだと思っていたら、それは1stセットだった。ちょうど順番が来たので数枚のTシャツを購入してあわててステージの方へ向かう。もう走る気力はないので早足程度で。
これを目指してきたのに、なんだか目の前で起こっていることにするっと馴染めない。自分の目でPHISHを見ているのに、ビデオをみながら音をCDで聞いてるみたい。
でもノリノリがっじぶ〜で、音が体に浸透していった。まだ寂しいモードはない。
そして『You Enjoy Myself』。彼らの代表曲と言っていいと思う。なんとなく今日演奏するだろうなと思っていたけれど、1stセットから登場するとは。トレイはややヘロッとした演奏をしている。
まだあまりPHISHのことをよく知らない頃、旦那に「この曲はいい曲だ。すごい曲だ」と何度も聞かされた曲。これが1曲というのがしばらく理解できなかった。3曲くらいがつながっているものだと信じていた。そのくらい曲の始まりと後半の印象が変わるのだ。
2人がトランポリンからおりると、いつもはスタッフがトランポリンを片付けるのだけど、今回はトレイがギターを置いて自分でそれを持ち上げた。何をするのかと思ったら、そのトランポリンを持ってステージの前に降りていき、一番前にいた客に2台のトランポリンを渡してしまったのだ。
『もう必要のないもの』ということをあらわしているのだ。ショック。急激に寂しくなって少し泣いた。旦那が「そこまでしなくったっていいのに」とつぶやいている。解散発表の「前回の活動休止と今回の発表は違う。今回は解散だ」というトレイのコメントを読んだときも「そこまで言わなくてもいいのに」と旦那は言った。トレイは曖昧な状態が嫌なのか。自らにもPHISHはおしまいと言い聞かせているのだろうか。
トランポリンは客の手を渡り、後ろへと送られていくうちに見えなくなってしまった。そこからは、1曲ごとに、今聞いてるのが最後のナマ音かあと思い切なくなった。途中で、作詞家のTom Marshallをステージに呼んで紹介した。そういうのも最後だからこその出来事。
すっかり寂しいモードにとりつかれ、気付くと1stセットは終わっていた。
ブレイクの間に、少し足場のいい場所へ移動する。今いる場所よりも少し右の少し前に砂利が敷かれた場所があったのでそこまで移動。なんとか2人分のスペースを確保して落ち着く。
2ndがスタートしたときには、すっかり暗くなっていた。『AC/DC Bag』では、グロウスティックが乱舞。あちらこちらから大量のグロウが夜空に舞い上がる。見ているうちに楽しくなってきて、沈み気味だったテンションも上がってくる。大量のグロウはマイアミで初めて体験したけれど、そのときは、ハコだったので、上の階から、ステージ前のアリーナ席へ降り注ぐ感じだった。野外では、噴水のように上に上がるイメージ。これは実際に体験してみないと、なかなか人に説明できるものではない。
気分も、沈んでいるよりも"今"を楽しもうというふうに変わり、音に合わせて体を揺らしていた。Ya Marは、初めて聞いたときに「まーゆ、まーゆ、まーゆ・・・」と聞こえるなと思い、個人的にちょっと好きな曲。そんなこと思っているのは6万5千人のうち私だけだな。
David Bowieは縁がある曲で、日本・マイアミ・そしてコベントリーと、私が見たショウのすべてで演奏した。
3rdで演奏した『Stash』もそうだ。
初めてPHISHをナマで見たのは2000年6月11日、日比谷野外音楽堂。まだ結婚はしていなかったけれど、今の旦那と、旦那の友だち4人、そして私の5人で出かけた。私はなんだかよくわからないのに行くことになったので、「せめて事前に少し音を聞いておきたいから、オススメを何か貸して〜」と旦那に言い、旦那は『Farm house』を貸してくれた。ちょうどその頃に出たアルバム。
私はそれまで、洋楽でも邦楽でもコンサートというものにほとんど行ったことがなくて、コンサートというのは、アルバムが発売されたときに、その曲を全曲やるものだと思っていた。たぶんそういうコンサートをするアーティストは多いだろう。
しかし、PHISHは違った。たしかにFarm houseからの曲も演奏したけれど、それにこだわらずにいろんな曲を演奏した。『Stash』のフレーズが始まったときに「これはお前には難しいかも・・」と旦那が言うので、その初めて聞くStashを真剣に聞いていた。すると途中のフレーズで客が一斉に手拍子をした。これか!確かに手拍子を入れるタイミングがよくわからない。でもみんなは決まったフレーズで手を叩いてる。くやしいなぁ。参加したい。
それから、沢山のショウのCDを聞き、今ではちゃんとリズムに合わせて手拍子ができるようになった。そんなわけでなかなか思い出深い曲。しかし、こうしてこの曲に合わせて手拍子をするのも今日が最後だ。
日比谷野音関係でもうひとつの思い出。このとき私は客席のまん中にあった通路で見ていたのだけど、すぐそばにいた小さい女の子とずっと一緒に遊んでいた。その女の子のお父さんがtakさんだった。takさんはとても親切で、そのときに倉持さんやzepさんや他にもいろんな人を紹介してくれた。そして、zepさんのホームページのことや、B&Pやトレードのこと、M/Lのことを教えてくれた。
私はパソコンを持っていたけれど、takさんから聞くすべてが全く知らないことばかりだった。
今では自分でこうしてホームページを作っている。ほんとうにあのときにtakさんと知り合えてよかった。そしてこの世界に誘ってくれたtakさんにとても感謝している。だから今、こうしてコベントリーまで来てPHISHのコンサートを見る私がいるのだ。あの出会いがなければ、私がこうしてこの場にいることはなかっただろうと思う。
そんなことを考えながら『Stash』を聞いていた。いい演奏だった。
アンコールの『Harry Hood』のHoodがミルクのメ−カ−名だと知ったのはコベントリーに来る直前。私も旦那もPHISHの曲名や詩についてあまり調べたり覚えたりしないので知らないことだらけだ。(後日談:PHISHが載っていた新聞を購入したら、スーパーのチラシが入っていて、Hoodのミルクが特価で売られていて、これなんだと納得)
初日終了。
出だしは寂しさが先にきたけれど、後半にすすむにつれ、演奏を楽しんだ。メンバーも楽しそうに演奏していた。
それから、某BBSで、"日本から出かけるみなさん、ショウの後にPA裏で集合してみましょう"という提案があったのでPA裏まで行ってみた。提案者のMELAMPOさんと会う。
Jantaさんを発見。どなたかとお話していて、その場においでと手招きされる。が、そこまでの足場がひどく悪くてためらってしまった。
すると、Jantaさんと話していた方がそんな足場の悪い中を走ってこちらに来てくれた。zepさんだ。顔がちらりと見えたときにたぶんzepさんだと思ったのだけど、やっぱりそうだった。
日比谷のときには興奮状態だったし、あまりにも一瞬で、記憶には薄かったのだけど、zepさんのおだやかな笑顔の記憶は残っていた。かわいらしい奥様と一緒だった。とても会いたい人だったので本当に会えてよかった。こちらがためらった足場を、躊躇せずに通って来てくれたことを申し訳なく思った。
どちらにしてもこの辺りはどこも足場が悪すぎるので落ち着かない。「もう少し足場のいいところへ移動しましょう」という話しになる。Jantaさんと歩き始めて後ろを見るとあっという間にzepさんの姿を見失ってしまった。この足場だし、この人込みだし仕方がない。とりあえずしっかりと御挨拶ができたのでよしとしよう。
それからJantaさんと歩きながら話をした。
Jantaさんは、コベントリーに着いたのが早かったので、無事に車で会場内に入っていた。そのかわり、かなり厳しいセキュリティーチェックを受けてたそうだ。私たちのときには、ノーチェック。楽々スルー状態だったから、入り口付近はきっと全然違う雰囲気だったのだろう。
お腹が空いたしビールも飲みたいので店をさまよう。途中でしおちゃんに声をかけられた。偶然会えた。
しおちゃんは、ステージエリアで両手を地面についてしまって、両手が手首まで泥だらけになっていた。手を洗う場所を発見できずにそのままうろうろとしていたようだ。私は地図を持っていなかったが、水場を1つ覚えていたのでそこを教える。とりあえずついてくるしおちゃん。
途中に、ピザトーストのようなものが売っていてそれを食べることにした。フットワークのいいJantaさんが、すぐに私たちの分も購入してきてくれた。
しおちゃんはまだ両手があかないのでとりあえずありつけない。さっきからビールが飲みたいが売っていない。
Jantaさんは、しおちゃんのことを「彼はずっとあんな感じなの?大丈夫なの?!もっと自分でできるようにならないとまずいっしょ」と言う。まあそうなんですけどね(笑)。この旅では、彼なりにかなり頑張っているわけで、「まあまあ、長い目で見てやってくださいな」と話す。
成田で初めて会ったときよりは、だいぶ成長しているのを私たち夫婦は知っているから。
やっと水場に到着したが、汚れた手足や靴を洗う人、ペットボトルに水を組む人で長蛇の列になっていた。さすがにそこまでは付き合えないのでしおちゃんに「テントの方向と場所はわかるよね?」と確認してそこでしおちゃんとは別れた。
結局ビールは見つからず、Jantaさんも疲れた顔をしていたし、寒いし、私たちも疲れていたので、ここでJantaさんと別れた。Jantaさんは「チキンナゲットが食べたいからその店探しますよ」と言って人込みに消えた。
私たちはテントに戻ろうかと思っていたけど、旦那が「寒いから長袖の何かを買いたい」というのでパーキングロットに引き返す。しかし、思うようなデザインの長袖Tシャツやトレーナーが見つからない。私は「寒さ凌ぎならなんでもいいじゃん」と思うのだが、旦那としては、気にいらないものを買っても、今後絶対に着ないとわかっているからそこまで妥協はしたくなかったようだ。
旦那も疲れてきたのか「やっぱりもういい」と言うのでテントへ引き返した。結局ビールがないのでとりあえず水を買った。
たぶんこのあたりという場所に自分たちのテントが見当たらない。「もっと向こうだったかな?」と旦那と話ながら進むと入り口のゲートに着いてしまった。行き過ぎているのだ。やれやれ。
慎重にテントを探しながら来た道を戻る。道沿いに貼ったのでわかりやすいはずなのに。
途中で道の隅に寄せられて駐車されていた車があったのでその裏にまわると、やっと自分達のテントを発見した。私たちよりも後から車で入場した人が車を停めていたのだ。なんとか発見できてよかった。
旦那はよほど疲れていたのか、テントに戻るとすぐに寝てしまった。私はそれでもウェットティッシュで手足を拭いた。汚い・・・。きりがないので、ひどい泥だけをふきとってよしとした。4時半就寝。
08/14/04 (Sat)Newport State Airport - Coventry, VT
Set 1: Walls of the Cave > Runaway Jim > Gotta Jibboo, You Enjoy Myself* > Sample in a Jar, Axilla, Poor Heart, Run Like an Antelope**, Fire
Set 2: AC/DC Bag > 46 Days > Halley's Comet > Ya Mar***, David Bowie, Character Zero
Set 3: Twist > The Wedge, Stash > Free#, Guyute, Drowned > Friday, E: Harry Hood##
Comment: *Trey gives away the trampolines to the crowd. **with Tom Marshall. ***Before David Bowie, Trey talks about the origins of the song. #Trey speaks at length to the crowd. ##Trey and Mike move closer to the audience and play on the rocks in front of the stage
Set list.comより